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こまき学生コラムニスト【摂食障害よりみち様】

こまき学生コラムニスト【摂食障害よりみち様】

小牧市民活動団体「摂食障害よりみち」様は、2019年11月に小牧市の市民団体として発足しました。代表の鈴木さんをはじめ、現在11人で活動しています。メンバーの半数以上が摂食障害の経験者であり、当事者のご家族や病気への理解がある方々が一緒になって活動しています。今回は、団体の設立者である鈴木佳世さんにお話を伺いました。

 

鈴木さんは高校生の頃に摂食障害を発症し、約17年間症状が続いていました。病気を克服し、団体を立ち上げるまでには様々な出会いやきっかけがありました。

 

摂食障害は関係ない人がいない、身近な病

「摂食障害は、自分に関係ないと思われていたり、偏見を持たれたりということが多い病気」と話す鈴木さん。「本当は、いつ誰が発病してもおかしくない病気で、正しい知識を伝えること、病気への理解を広げていくことが大切であり、それが私たちの使命のひとつでもある」と感じています。

 

「今、摂食障害の只中にいる方は、いつ治るかわからず苦しんで悩んでいらっしゃると思います。私もそのような日々を過ごしていました。しかし、それを乗り越えて今ここにいます。必ず出口が見えるとき、前に進んで楽になるときが来ると思います。少しでも悩んだり不安に感じたりする方がいらっしゃれば、気軽に私たちに声をかけてください」

隠し続けていた過去を打ち明けたことがきっかけ

結婚を機に小牧市へ移住したという鈴木さんは、子どもを授かったことをきっかけにそれまでの働き方を見直し、子育てしながらできる仕事としてバランスボールのインストラクター資格を取得。活動を始めました。

 

慣れない育児から症状が少し出た時もありましたが、その頃には、ほぼ病気を克服し、摂食障害だったことは誰にも打ち明けることなく仕事を続けていました。しかし、ずっと隠し続けていることにモヤモヤし、心のどこかで腑に落ちない自分がいたそうです。

 

「ある時、“この人になら話せるかも”という方に出会い、思い切って自分の経験を話してみると、こんな言葉が返ってきました。

 

―自分の経験を困っている人に伝えて、困っている人(当事者や当事者のご家族)の支えになれたら良いよね―

 

それまでは、病気になった自分に悩み、病気が終わった後の自分がどう生きていくかで悩み、常に考えは自分中心。周りの人をサポートしようという気持ちの余裕なんてありませんでした。しかし、その人の一言で、“自分の経験がだれかの役に立つ”ことに気づかされ、考え方が一変しました」

 

ほぼ同時期に、バランスボールのインストラクターとして中日新聞の取材を受ける機会があり、摂食障害の過去があるからこそこの仕事につながっていることを伝えたくて、思い切って記者の方にその経験を話したところ、経験談が記事として書かれており、結果的に多くの方に自分のことをモヤモヤしていた部分も含めて知ってもらえる転機になった、と笑顔で振り返ります。

摂食障害の経験を話すのはとても勇気のいることだったと思います。しかし、勇気を出して行動を起こしたからこそ今の鈴木さんがいることが分かりました。そして、“人に話す”ことで抱えていたものがふっと軽くなったり、自分では見えていなかった視点に気付かされたりすることがあるのだと感じました。

 

そこから本格的に鈴木さん個人の活動が始まります。

初めの頃は、自分の体験談を話すことが中心でしたが、だんだんと経験を重ねていくうちに、専門的な知識も身に付ける必要があると感じ、勉強会に積極的に参加してさらに踏み込んだサポートができるようにされていったそうです。

同じ経験をした仲間が集まり団体に

個人で活動を続けていくうちに、実は自分も経験者だと打ち明けてくれる方、家族が摂食障害で苦しんでいるという方、病気に理解を示してくれる方などが応援してくださり一緒に協力したいという声が増えていき、団体としての活動が始まりました。

主な活動としては、摂食障害の当事者とご家族の回復サポート、定期的な交流会の開催、居場所づくり・回復のきっかけづくりとしてのワークショップの開催、予防啓発活動などがあります。「ここ最近はコロナウイルスの影響で、実際に会ってお話しする機会が減ってしまったが、定期的にワークショップなども開催したい」と鈴木さんは語ります。

 “焦らずゆっくり”を合言葉に

交流会を開催しても参加者が集まらないことも多々あり、本当に必要な人に支援が届いていないのではないかと不安になることもあるそうです。

「摂食障害に苦しむ人の中には、交流会に参加する力すら出ない、助けの声の出せない人も多くいる」と話す鈴木さん。交流会の参加者がいない日は、開催の準備をしてくれていた他のメンバーに申し訳なく感じることもありますが、そんな時、“焦らずゆっくりやっていこう”と言ってくれるメンバーたちに支えられているそうです。

 

「交流会に人が集まることが目的なのではなく、『よりみち』という場所が存在し続けることが大切だと感じている。『よりみち』があることで、誰にも相談できず悩んでいる方の声をひとつでも多くキャッチできれば」と真剣な表情で語ります。

さらに視野を広げた活動を

「この春からは、市の保健センターと協力し、中学生・高校生といった若年層に向けての予防啓発活動として、生徒らに配布するためのリーフレットやポスターの作成、養護教諭の先生に向けた講座の開催などにも力を入れていきたい」と意気込む鈴木さん。

「小牧市は何か思いをもって活動する人や団体のことを応援してくれるまち。さまざまな方が親身になって相談に乗ってくださったり、チャレンジしようとすることを後押ししてくれる制度が整っている」と振り返る一方、直近におこなったZoomでの当事者交流会で県外から参加される方もいたことから、市内にとどまらず市外や県外へと支援を広げていく必要も感じています。

 

「まずは地域(小牧市)の人に「よりみち」の存在を知ってもらえるようにすること。その一つとしてこれから始まる共同事業には力を入れていきたい」と鈴木さん。市内のさまざまな団体や全国にある他の摂食障害支援団体と協力して活動していければと展望します。

 

「自分がそうでなくてもご家族やお友達など、もしかしたらそうかも?と思う人が身近にいたら、気軽に声をかけていただければ。もちろん、摂食障害について理解を深めたいという方や、団体の活動に協力したいという熱意のある方も大歓迎」と話す鈴木さんの笑顔からは、“自分の経験を生かして悩んでいる人の力になりたい”という強い思いが伝わってきました。

摂食障害に悩む方へ

現在、当事者交流会はオンラインでおこなっていますが、メールでの相談も受け付けています。お気軽にご連絡ください。

関連サイト

小牧市民活動団体摂食障害よりみちHP

https://yorimichi-komaki.themedia.jp/

 

ワクティブこまき 知っトクセミナー『食から読み解くココロとカラダのSOS』

https://www.youtube.com/watch?v=KxCInXop-BM

 

Instagram「yorimichi.komaki」

https://www.instagram.com/yorimichi.komaki/

 

摂食障害ポータルサイト

https://www.edportal.jp/index.html

紹介動画