こまき学生コラムニスト【旬の店 ヤオカネ】
お店を長く続けるためには、地域の方々に愛されることが大切だと思いますが、愛されるお店とは、いったいどのようなお店なのでしょうか。
今回は、小牧にある老舗のフルーツパーラー「ヤオカネ」の中村愛弓さんにお話を伺いました。
「ヤオカネ」は、大正2年創業の企業です。長く小牧の人々に愛され続ける秘訣を伺いました。
長い歴史の中で
創業当初の「ヤオカネ」はフルーツパーラーではなく、さまざまな食料品を扱うお店、いわゆるスーパーマーケットのような存在でした。その後にくだもの専門店、そして現在のフルーツパーラーへと変わったのは、三代目である中村さんのご両親の代からだそうです。
一方で、お菓子作りが小さな頃から好きだったという中村さん。お店に立つ祖父母やご両親をみて、「自分自身も同じように働きたい」と思っていたそうです。学生生活を終えたあと、他の飲食店に勤めるかたわら、フルーツパーラーの事業に携わり、結婚を機に本格的に家業を継がれたそうです。
商売は山あり谷あり
総合食料品店からくだもの専門店に切り替わった直後は、お客様が離れてしまったことがあった、と中村さんは振り返ります。その後、果物の鮮度を活かしたフルーツパーラーに力を入れることで、再び多くのお客様に足を運んで頂けるようになったそうです。
今ではオンラインショップも運営し、旬の果物を使った手作りフルーツ生ゼリーなどを全国に発信しています。
小牧の名産・桃を使ったフラッペ
「ヤオカネ」を代表する看板商品と言えば、小牧の名産である桃を使ったフラッペ。その誕生は、2005年に行われた愛知万博にさかのぼります。
愛知万博での販売の機会を得た中村さんは、小牧の名産をPRしようと商品開発に乗り出します。そこで問題となったのが商品を提供するスピードでした。
「桃は色が変わりやすく、生絞りのまま保存すると変色してしまう。かといって注文を受けてから加工していては提供に時間がかかりすぎてしまうため試行錯誤した」と中村さん。変色の問題は、桃をコンポート(シロップ漬け)にすることでクリア。提供スピードも改善し、万博で多くの方に楽しんでいただくことができた、と振り返ります。
桃フラッペは当時の味を今も引き継ぎ、毎年7月から販売を開始。販売時期の前半は小牧産の桃、販売時期の後半は、遅れて旬を迎える長野・山梨県産の桃を使い、最高の桃フラッペを長く楽しんでもらう努力をしています。
今(5月上旬)が旬のイチゴパフェ
最近は海外の果物の流通などもあり「季節感」が失われつつありますが、「ヤオカネ」では旬の果物にこだわり、一番おいしい時期のものをおいしい状態で食べてもらう工夫と努力をしている、と中村さんは語ります。
そこで、今まさに旬のイチゴが食べ比べできる「3種のイチゴパフェ」を頂きました。
「あきひめ」「あまおう」「ゆめのか」という3種類の新鮮で甘酸っぱいイチゴに甘さ控えめな生クリームが絡み合い、スプーンが止まらない!
さらに、生クリームの中には手作りのジェラート!イチゴと生クリームの組み合わせとはまた違った、濃縮されたイチゴの旨みがたまりません!
イチゴは種類によって断面が違うというのも新たな発見で、底までフルーツがぎっしりの予想以上にボリューミーなパフェでした!
一度食べたら虜になること間違いなしです!頂いたイチゴパフェから、「この季節に食べてもらいたい」という旬にこだわる理由が分かったような気がしました。
おいしいイチゴを提供できる季節は5月上旬までなので、ぜひ今のうちに味わっていただく事をオススメします!
他にもジェラートやクレープ、パスタなども喫茶コーナーで食べることができ、フルーツパフェは軽いランチやモーニングと一緒に頂かれることが多く、また1年を通じて人気なのは時々の旬の果物を活かしたフルーツサンドだそうです。「ヤオカネ」では幅広い年齢層の方が訪れていて、朝はご高齢の方が多く、土日祝日は家族連れのお客様が多いとのことでした。
コロナ禍での取り組み
「ヤオカネ」では、喫茶コーナーのテーブルを離す&席数を減らすなどして新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めているそうです。また、イチゴフェアなど旬に合わせたイベントは、感染のリスクを減らすために、時にはテイクアウト限定にするなどの工夫をしながら、情勢に合わせて取り組んでいます。最新情報はTwitterなどで発信されていますので、ぜひご覧ください!
インタビューを経て
今回取材させていただいた「ヤオカネ」様は、100年以上の歴史を持ちつつも、旬を楽しんでもらいたいという「こだわり」と「熱意」がお客様に伝わることで、長く地域で愛されているのだと分かりました。ありがとうございました。
関連サイト
ヤオカネ様 HP
https://yaokane.com/
ヤオカネ様 Twitter
https://twitter.com/yaokane